介護関係の本 脳科学者の母が、認知症になる
介護関係で読んだ本の感想です。
脳科学者の母が、認知症になる: 記憶を失うと、その人は“その人"でなくなるのか?
恩蔵絢子 (著)
脳科学者、といえばテレビ番組のホンマでっか!?が浮かんできて、
えええ!!!みたいな情報を期待していたのですが、
そういうものではなく、落ち着いた内容でした(笑)。
またおそらく同世代の女性が書かれた文章なので、
共感するところも多く、また学者さんということで、私が漠然と感じていた不安や感じたことなんかをきれいに文章にまとめてくれていて、自分の感情を整理する助けになりました。
認知症の家族がいる方、いない方へむけて気なったポイントを
いくつか書き出したいと思います。
*その人の役割を家族(介護者)が負担することによる依存。
本人とその家族(介護者)の区別があいまいになる。
その家族は自分の人生を導いているという感覚がなくなる。
*自分との切り離しがうまくいかないために、こう受け取ってくれるはずだと仮定してしまい、伝わらなかったときのショックが大きい。
*介護することで、その家族の主体性、自由を奪ってしまう。
やってあげる、と思ってしまう。
→自分の負担にならない範囲でできることをしたほうがいい
このあたりは、認知症本人である家族と、その介護者の関わり方でとても参考になります。我が家は同居ではないのでまだ良い方かもしれませんが、やっぱり疲れている時なんかは「わざわざ帰って来てあげてるのに!」と思って余計に腹が立ったり、難しいです。
*記憶や認知能力がなくなってもその人らしさは残る
*本人の感情と相手の感情を読み取る能力は残る
うちの父は立派でも、良い父でもなかったのでもともと期待値のハードルは低いのですが(笑)、それでも今のところ(良くも悪くも)性格、個性はそのままですし、今後もそれは変わらない、と思うと少し気が楽になりました。
今までどおり接すれば良いのか、という意味で。
それから、すぐ忘れてしまうけれども感情は今までと同じにあるし、こちらの感情もしっかり読み取っています(これはむしろ発達しているかも、と思うくらい。)。
当たり前なんですけど、やっぱり疲れているとおろそかになってしまうので、帰り際なんかは気持ちよく別れられるようにしています。
(とはいえ、帰ってきたこともすぐ忘れちゃってるんですが。)
また、認知症の進行順番として分からなくなるのが時間→場所→人と変化していくと言われていますが、時間は脳の新しい記憶を司る海馬の部分が、場所や人に関する記憶は海馬から移された古い記憶が保管された大脳新皮質がうまく働かなくなってきた、ということのようです。
このあたりも知識としては順番を知っていても、どうしてなのか不思議だったので、
脳に何が起きていて、これから何が起こるのかということを知ることができて良かったと思います。